新聞記事

http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20090428ddlk28070596000c.html

写真探訪:こんにちは 大乗寺香美町) /兵庫
 ◇応挙の色、鮮やかに再現−−最新デジタル技術で複製、64面の障壁画を公開

 香美町香住区森の大乗寺(長谷部真道住職)に伝わる円山応挙(1733〜95年)とその一門による障壁画が、最新のデジタル技術で再現された。客殿で公開されている64面の複製は、描かれた当時と同じ鮮やかな色で参拝客を迎えている。

 応挙は江戸時代中期に活躍した画家。大乗寺の中興の祖、密蔵・密英上人の依頼を受けて制作した165面すべてが国重要文化財となっている。

 原本の調査は10年前に始まり、大日本印刷のデジタル技術と愛知県立芸術大学の吉本弘名誉教授の協力により、高密度印刷の複製が実現した。

 最も広い孔雀(くじゃく)の間の「松に孔雀図」は16面にわたる大作だ。金ぱくの上に3本の松の巨木と3羽のクジャクが墨で描かれている。墨を通して金地が透ける効果で、松葉が緑色のように見えるといわれる。

 郭子儀(かくしぎ)の間は、唐の武将・郭子儀と芭蕉の葉で遊ぶ子どもたちの姿が、緑青や群青、朱色などで鮮やかに再現されている。【藤田宰司】

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 ◇アクセス

 JR香住駅からタクシーで5分。拝観時間は午前9時〜午後4時。大人800円、小学生500円。香美町香住区森860。電話0796・36・0602

毎日新聞 2009年4月28日 地方版


中外日報より
http://www.chugainippoh.co.jp/NEWWEB/n-news/09/news0904/news090421/news090421_04.html

重文・障壁画の複製進む 兵庫・大乗寺
2009年4月21日

兵庫県香美町高野山真言宗大乗寺(長谷部真道住職)は、別名「応挙寺」とも呼ばれ、円山応挙と門弟の筆による客殿障壁画が知られる。全百六十五面の障壁画群は重文に指定され、中でも応挙の金碧画四十五面は、応挙晩年の画風を伝える大作として名高い。

その大乗寺で現在、障壁画群の保存を目的として、原画の複製事業が進められている。百六十五面すべてのデジタル複製画を順次制作し、原画と入れ替える形で客殿を荘厳する計画。先ごろ、このうち六十四面の複製画が第一期として完成し、客殿で公開された。

複製されたのは、応挙筆の「松に孔雀図」「郭子儀図」「山水図」など四十五面と、門下が描いた紙本淡彩画など十九面。複製画の完成に伴い、六十四面の原画については竣工済みの専用収蔵施設「応挙霊宝庫」に移して保存されている。

「単なるレプリカの制作ではなく、応挙が企図した空間表現を現代によみがえらせたい」と話す長谷部住職。複製事業の構想は十年前から温めてきたといい、ようやく第一期複製画が完成したのを受け、「作品の精神性と芸術性が見事に再現されている」と喜ぶ。

撮影・印刷は、大日本印刷グループの(株)DNPメディアクリエイト関西が手掛け、監修は同寺の法縁寺院出身で画家の吉本弘愛知県立芸術大学名誉教授が担当した。吉本氏の下でデジタル画像の解析と補整を行ない、経年劣化部分については、画像処理を施し復元に努めた。