応挙寺 山門ピンチ 大木の根が影響

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香美町香住区大乗寺(応挙寺)の山門が、隣にそびえる大きなクスノキの影響で傾いている。2月末に町の文化財に指定されたばかりだが、大雨や地震などで破損や倒壊の危険性も指摘されている。

 大乗寺は、円山応挙と弟子たちが描き、国の重要文化財に指定されている障壁画でも知られる。745(天平17)年の開山とされ、山門は19世紀中期に建てられたとみられる。端々まで細かく彫刻が施され、美しく雄大な構えを持つ町内随一の建築として町文化財に指定された。

 山門の傾きは、すぐ北側の境内に生えるクスノキ(町天然記念物)が原因。樹齢800年とも1200年とも言われ、高さ約30メートル、幹回り約6メートル。根が境内の地中に広がって地面を押し上げ、灯籠(とう・ろう)が傾くなどしているほか、山門の下などにも伸びている。

 2007年に、県内の文化財修復などを手がける神戸建築文化財研究所(加古川市)が調査したところ、山門の下に入り込んだ根が成長して山門ごと地面を押し上げ、山門の傾きは水平方向に最大3・8センチの差があった。柱も1メートルあたり最大で2・2センチの傾きがあり、山門につながる塀には亀裂も入ってきている。また、クスノキの幹と山門の屋根のすき間も狭まっており、山門を破損する恐れもあるという。

 同研究所を主宰する尾瀬耕司さん(40)は「柱の傾きは地震などの際に破損につながる恐れもあり、修理するべき時期にきている」と指摘する。

 同寺の山岨(やま・そば)真応副住職は「放っておくわけにもいかず、何か事が起こる前に対応を考えたい」。文化財に指定した町教委も「指定には保存を考えるという意味合いもある。大乗寺とともに対策を検討したい」としている。