大乗寺の山門など新たに3件 香美町指定文化財

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大乗寺の山門など新たに3件 香美町指定文化財
2010年03月04日 日本海新聞

 兵庫県香美町教育委員会は、大乗寺の客殿と庫裏、観音堂、山門(香住区森)、吉野神社の鋳造阿弥陀如来座像(同)、西迎寺の木造阿弥陀如来座像(同区下浜)の3件を新たに同町指定文化財に指定した。それぞれ製法や構造上の特異性を評価した。町指定文化財はこれで、66件となった。
香美町香住区森の大乗寺の山門
香美町香住区森の吉野神社の阿弥陀如来座像
香美町香住区下浜の西迎寺の木造阿弥陀如来座像

 大乗寺の山門は江戸時代の建築で、彫刻師、中井権次橘正次の彫刻が随所にちりばめられている。門としては珍しく細部まで造り込まれ、雄大な全体像と合わせ、当時の技巧を凝らした本格的な建築物となっている。

 西迎寺の木造阿弥陀如来座像は高さ85・6センチ、寄木造り。着衣の表現である衣紋が薄く、表情も穏やかで平安後期の典型的な作例と考えられる。2009年度の修復作業で使用木材の年代測定を実施した結果、平安時代後期に造られたことが分かった。

 吉野神社の鋳造阿弥陀如来座像は関西圏では珍しい鉄仏で、平安時代後期の作とみられる。高さは89・3センチで木製の台座と光背は江戸時代のもの。後世に取り換えられたとみられる銅製の頭部以外は鉄で鋳造されている。

 大乗寺と吉野神社のある同区森の岡崎吉晴区長(65)によると同神社の阿弥陀如来座像は昔、地区の入り口にあって疫病から村を守ったと伝えられているという。岡崎区長は「森から指定文化財が選ばれてうれしい。これからも地域で大事にしていきたい」と話していた。